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世界へ進出、 第189巻。
どうぞ、ごゆるりと。

 ■Vol.189 「世界の舞台へ」    ろうた
 数年前に出版されてちょっと話題になった祇園の舞妓さんの物語「さゆり」がハリウッドで映画化されることになった。
 神楽坂の芸者さんだった人で、田中角栄の愛人だった人も本を出したり、ちょっと花柳界はにぎやかな話題?に包まれている。写真_ごろごろ日記189
 この話を棟梁にすると、
「愛人ってなぁ味気ねぇなぁ」
 とのこと。
「じゃあ何て呼べばいいんですか?」
 と聞いても確たる返事は帰ってこなかった。
「花柳界も昔とはすっかり変わっちまったから、映画や小説の中でしか存在しねえ世界になったような気がするなぁ」
「地元で暮らしていながら・・・」
「地元にいるから、変わりようが目に付くんだよ」
 確かに祇園の舞妓さんでも東京や横浜出身なんて子が増えているらしい。
「で、主役は誰がやるんだい?」
「何でもさゆり役は中国の女優がやるらしいっすよ」
「何だい、またへんてこりんな日本を見せられる映画なのか?興ざめだなぁ」
 チャン・ツィイーという綺麗な女優で、俺は彼女ならさゆり役もいいかと思ったんだけど。まぁ、棟梁が言うように、外国人が描いた日本はがっかりさせられたり、恥だと思うようなものもある。
「渡辺謙とか役所広司っていう日本の男優も出るらしいんで、日本文化についてはいろいろ意見も言うと思うんですけどね」
「そうかねえ」
「それに、さゆりの後見のような女将の役を桃井かおりがするそうです」
「ふーん、あの子はいいね、面白そうだ」
「彼女も、日本人の役は、日本人がやった方がいいに決まっているってんで、かなり気合いが入っているようです」
「当たりめえだよ」
「なんか待望のハリウッド・デビューとかで、せっかくのチャンスだから向こうで暮らせるくらいになってきたいって言ってるそうです」
「野球でも学者でも音楽家でも、いいのはみんな外国へ行っちまうんだなぁ」
「まぁそういうことですかねぇ、日本人が世界で活躍してくれると嬉しいっすけどねぇ」
「そりゃあそうだけど、日本だけで、ごく一部の人だけに絶賛されて生きていく道を目指すってのもいいんじゃねえのかなぁ」
 いわば昔気質の職人さん、名人、匠と言われるような人たちは確かにそうだったろうな。その業界、その地域の人から技を愛され一つのことを深く深く追求していく人生だもんな。
 そういえば、棟梁もその中の一人だ。とび職の連中をまとめて、海外へも披露に行ったけど、とびの技術を海外へ移植しようなんて気は毛頭無い。また外国人にできることでもないか。
 ごろごろ生きるってのは海外にも普及できるのかな?アジアの男達は、どこかごろごろ、だらだら生きてるような印象もあるけど。
 ハワイやタヒチなど南の島の人たちや、中米のレゲエ・カントリーの人たちもごろごろが似合いそうだな。
 こいつは一つ、我がごろごろ学会の海外進出を企てなくっちゃいけねえかなぁ。